環境保全をベースとした地域づくりに取り組む高知のコンサルタント・シンクタンク

株式会社 西日本科学技術研究所

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近自然工法=人間活動と生物生存両立のコンセプト

近自然の歩み

 近自然工法の日本での歴史は、四半世紀になりますが、その思想と技術は、河川だけでなく、登山道の整備や敷地造成、地域づくりにおいて発展しています。近自然工法による自然再生が全国に拡がる中、人々の自然や生き物への思いやり、想いを同じくする人と人とのつながりも各地で育まれていきました。
 福留脩文と近自然の歩みを、代表的な施工事例とともに紹介します。

1974.12 創業者・福留脩文 株式会社西日本科学技術研究所を設立、代表取締役就任
1986.04 スイスを訪れ、「環境に配慮した土木工事」を目の当たりにする
1986.07 五十崎町(現 内子町)の亀岡氏らとともにチューリッヒ州建設局のクリスチャン・ゲルディ氏を訪問Naturnaher Wasserbauの和訳を「近自然河川工法」とする
1988.09 建設省(現 国土交通省)訪問。近自然河川工法が河川行政の中で認知される
1998.10 ゲルディ氏を招聘し、愛媛県五十崎町と高知県中村市(現 四万十市)で国際シンポジウムを開催
1990.11 建設省(現 国土交通省)より「多自然型川づくり」の通達が出される
1991.10 「第1回国際水辺環境フォーラム」を北海道で開催、欧州から6名の講師を招聘。以後、94年まで国内各地で開催されたほか、95年にはスイス、ドイツで連続して開催された
1991.12 加納川(愛知県豊田市)にて、近自然工法のコンセプト導入第一号となる改修工事完成
1992.03 矢作川(愛知県豊田市)の約800m区間で「護岸・根固め水制」が完成。事業は、官民協働により推進された
1994.10 球磨川(熊本県球磨郡)の災害復旧工事区間に27基の根固め水制を設置する工事が開始される(1996年完成)
1995.01 児ノ口公園(愛知県豊田市)で地下に埋められた小川を掘り起こし、都市公園の野生化を図る工事が始まる
1995.02 北川川(高知県東津野村(現 津野町))の、既往の道路改良工事で単調化していた河岸・河床において、水際の生き物の世界に着目した再活性化事業を実施
1996.07 球磨川(熊本県球磨郡平良地区)にて奈良時代から伝わる「蛇篭鞍掛(じゃかごくらがけ)水制」が完成
1997.07 大畑川(青森県むつ市)にて、工期6時間の近自然改修工事(水制の石組みや置き石)を実施
1998.12 世界自然遺産 屋久島の益救(やく)参道(鹿児島県上屋久町(現 屋久島町))にて、近自然工法による登山道の設計・試験施工を実施
1999.11 長野県信濃町鳥居川において、瀬と淵を復活させる石出し水制と分散型落差工を施工
1999.12 わが国初となる近自然工場敷地造成、サンデンフォレスト(群馬県粕川村(現 前橋市))の造成コンセプト成立 (2002年春工事完成)
2000.07 目名川(北海道上ノ国町上ノ国ダム直下)で、帯工と水制を設置。ダム建設後も環境と同化する自然回復を実現
2001.09 北海道大雪山国立公園愛山渓で行われた登山道保全巡視業務現地研修会で登山道の改修指導(2004年まで)
2002.01 引ノ平川(鹿児島県桜島)にて、土砂災害の防止とともに、環境に配慮した落差12m、延長60mの斜路工を設計
2003. 鏡川(高知県高知市)にて、鳥居川で開発した分散型落差工を改造し平瀬、早瀬の造成を試み、瀬と淵の連続性を再現
2004. 遠賀川(福岡県直方市)にて、砂泥に覆われた単調な河床に瀬を造成。アユの生息密度は施工前の約5倍に増加した
2006.02 大保川(沖縄県大宜味村)にて、感潮域特有の生物の生育・生息環境や景観の保全、修復に配慮しながら水制群を施工
2006.03 中野川(青森県黒石市)にて、高低差10mの砂防堰堤併設魚道を近自然魚道工に全面改築、試験通水実施
2007〜 網走川(北海道津別町)、藻琴川(北海道大空町)において、河川環境に配慮した治水・利水対策を推進する整備計画における設計・施工指導
2008.09 安田川(高知県馬路村)をフィールドとする近自然土木実務者研修会にて、水制工を設置。以降2015年2月までに、分散型落差工や水制工の設計・施工を継続的に実施
2009〜 通潤用水(文化庁 重要文化的景観に選定)のある熊本県山都町にて、近自然工法による景観整備を提案。2014年11月、農業用水路改修設計・デザイン監理に携わった「通潤用水下井手(したいで)水路の改修」(白糸地区)が2014年度土木学会デザイン賞 優秀賞受賞
2009.09 仁淀川(高知県いの町)にて瀬の活性化によるアユ漁場改善を目指した瀬造成工(分散型落差工)の設計・施工指導を実施
2010.08 北海道、世界自然遺産 知床羅臼岳の荒廃登山道にて、近自然工法による修復実証試験を実施
2011.06 大淀川・富吉水源地(宮崎県宮崎市)にて、取水口付近の水位低下に対する恒久的な対策検討として河床形態の検討・対策工の設計に着手。2011〜2014年にかけて段階的に水制工を設置
2012.01 長良川(岐阜県郡上市)にて、河床低下防止を目的とした分散型落差工を設計。2012〜2013年の工事後河床のみお筋部には砂礫が堆積し、1年後には前年比5倍のアユが確認された。2015年には「一級河川長良川 大和工区 多自然河床低下対策工事」(岐阜県郡上土木事務所)が、平成26年度全建賞(河川部門)を授賞
2012〜 鹿児島県奄美大島にて、河床低下、水衝部対策等の治水対策の強化とともに、瀬淵の再生を目的とした川づくり検討・設計業務に着手。2013年10月の役勝川における分散型落差工・水制工の設置以降、住用川や戸口川においても段階的に施工を実施中(継続予定)
2013.11 合志川(熊本県菊池市)にて、流下能力の確保を前提に、自然に近い河道となる掘削検討、瀬と淵の再生・保全、河道の二極化・スレーキング現象の解消を目的として、自然の力を活用した対策工(瀬造成工、水制工、根固工)と護岸設計を実施。各種整備に先立ち、河川環境調査(魚類、植生調査)を実施、環境モニタリング計画を策定。2014年から段階的に施工を実施中(継続予定)
2014.03 白川・緑の区間(熊本県熊本市)にて、親水と歴史景観に配慮した石積護岸および河床安定を踏まえた上で河川環境にも配慮した水中・水際整備の設計を実施。2016年には「白川熊本市街部河川改修事業(緑の区間)」(国土交通省九州地方整備局熊本河川国道事務所)が、平成27年度全建賞(河川部門)を授賞

《研究発表・論文》

2010.02 第54回水工学講演会で「淵環境を回復した低水路水制の設計とその環境機能の評価」について発表
2010.05 COP10関連の国際会議「都市における生物多様性とデザイン(URBIO2010)」の企画分科会で“DESIGN OF LO W-WATER GROIN TO RECOVER ENVIRONMENT OF POOL AND THE EVALUATION OF ENVIRONMENTAL FUNCTION” について発表
2010.06 2010年度河川技術に関するシンポジウムで「魚類の定住利用と河床の安定化を目指した渓床復元型全断面魚道の建設とその効果」について発表、優秀発表者賞受賞(論文は、河川技術論文集、第16巻 2010年6月に掲載)
2010.10 論文「石礫河川に組む自然に近い石積み落差工の設計」が、土木学会論文集F Vol.66(2010)に掲載される
2012.03 中央大学理工学部において博士(工学)取得(福留脩文)
「治水と環境の両立を目指した川づくりの技術的考え方とその適用性に関する研究」
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